平成29年11月7日(火)、東京しごとセンター地下講堂にて平成29年度シルバー人材センターフォーラム(以下、フォーラムという。)を開催しました。
このフォーラムは、学識経験者による基調講演および新しい視点や創意工夫にあふれた事業展開、または公益法人としての適正で円滑な組織運営に係る先進的な取組を行ったシルバー人材センターによる事例発表により、シルバー人材センターの研鑽・交流を図るものです。
当日は都内の56シルバー人材センター理事及び役職員、関係者、合せて138名が参加しました。
【基調講演】
「シルバー世代の人材活用アンケートから ~会員拡大に向けた課題と対応例~」
講演:NRI社会情報システム株式会社 上級システムエンジニア 星 一平 氏
<NRIがこの10年に渡って実施したWEBによるアンケートの分析から見えたことは>
―アンケートの回答者=全国の55歳から5歳刻みで79歳までの1,500人の方々―
1.シルバー世代の情報・生活
⇒ 64歳以下の層には紙媒体が届きづらくなっている。
2.シルバー世代のお金
⇒ 収入の格差は小さいが貯蓄格差は大きく、2極化している。
3.シルバー世代の就業希望
⇒就業意欲は旺盛で有償の就業を志向しているが、希望職種は事務系と技術系でシルバー人材センターの実績とは乖離している。
4.一般の方から見たシルバー人材センターは
⇒ 認知度は他の団体に比べて非常に高く、会員増加の余地は大きい。
5.シルバー人材センターに仕事を依頼したことがある人は仕組みの理解も深い。
⇒ 有望な潜在会員になっていると考えられる。
<会員拡大に向けた課題と対応例〉
会員対象年齢である55歳から65歳の年代層に届くメディアを通して広報することが必要 であり、スマートフォン向けWEBサイトからの入会手続き導入が提案されました。
【事例発表1】
「新規の会員確保と受注拡大に関する事例発表」
~インターネットを活用した入会と受注の促進について~
講演:公益社団法人東久留米市シルバー人材センター 常務理事兼事務局長 東淳治氏
東久留米市シルバー人材センターでは、入会者数が減少傾向にあることが課題です。入会者数が少ない年度を見ると、有効求人倍率が高い時期とほぼ重なっていました。東京オリンピックまでは有効求人倍率は高水準のままと想定されるので、会員増強に向けて入会していただける工夫をしていくべき時期と考え、以下のような取り組みをしています。
- 会員が気軽に集える場として、コミュニティルームを事務所の1階に設置
- インターネットを利用したWEB入会・WEB受注チャネルの導入
- インターネットを利用した会員とのコミュニケーションツールを導入予定
- 就職退会防止のため、適正な配分金額について検討を開始
今後も考えられうる施策を、理事会が中心となって検討実施していく予定です。
【事例発表2】
「既存会員の居場所に関する事例発表」~メンタルケア事業~
講演:公益社団法人武蔵村山市シルバー人材センター 常務理事兼事務局長 福井正明氏
武蔵村山市シルバー人材センターでは、「会員になって良かった!」と思ってもらえるシルバー人材センターでありたいと考え、会員の高齢化に伴う引きこもりや孤立化防止の一助とするべく事務局担当次長が「メンタル心理カウンセラー」の資格を取得し、「メンタル事業」を加えました。
- 高齢会員の外出の機会を増やすため、1対1の対話方式により話を「傾聴」、様々な問題を抱えた会員に向き合い解決に努力
- 相談時間は一人約1時間、傾聴を希望する会員の年齢は問わない
- 今年度から新たに初期認知症と診断されても就業が続けていけるように、会員仲間がサポートし共に働く支援事業「銀友事業」を開始
何事においても、センター全体でサポートし見守る体制作りの強化を目指しています。